この記事は「音MAD Advent Calendar 2018」の15日目に参加しています。
はじめに
音MADとは何か。この問いに正確に答えられる人は少ないだろう。
本論は、読者諸兄(JK)に音MADについて考えるための一助としてもらうことを目的としたポエムである。
音MAD宇宙論を語る上で、まず「音MAD」の定義を考えなければならない。
一般的な認識としては「元となる音楽が存在し、その音楽のリズムに合わせてアニメなどの素材が載っている」という定義の仕方で概ね問題ないと思われる。
しかし、上記の要件では以下のような音MADが定義から漏れてしまう。
これらは一般的にも音MADと認識されることは間違いないだろう。 よって、定義を「元となる音楽が存在し、その音楽のリズムに合わせて任意の素材が載っている」に変更する。
しかしこれでも問題がある。以下のような動画群だ。
・自作曲MAD
・音MAD風味
後者は置いておくにしても前者はどうにかして音MADとして定義したい。 そこで、定義から元曲についての記載を取り除いて「任意の曲のリズムに合わせて任意の素材が載っている」としてみよう。
この要件なら自作曲MADを音MADとして定義することが出来るが、副作用として以下のような楽曲も音MADとしての要件を満たすこととなる。
・ナードコア(ネタものテクノ、おもしろテクノ)、nerdtronic
・2chを源流としたネタものサンプリング音楽
これらは(源流の方からするとやや気分は良くないかもしれないが)定義として概ね問題ないように見える。
だが、以下の動画のような「リズムに合わせていない」音MADが定義から漏れたままだ
※これらを音MADと感じるかどうかも分かれると思うが、今回はこれらを音MADとして扱うこととする。
・???
つらい音MADを救え。これらも音MADと呼ぶために「任意の音楽に、任意の素材が載っている」と定義を変更しよう。
するとどうなるか
任意の素材が載っている、ということはその素材の範囲が限定されてないということだ。
すなわち、環境音やサンプリングボイス、究極的にはドラムやシンセサイザーの音そのものをも素材と言うことが出来てしまう。この定義では既存曲全てが音MADとなってしまうではないか。
加えて「任意の曲に」ということは、ジョン・ケージ作曲の「4分33秒」に素材を載せても良いということになる。
「任意の曲に」「任意の素材が載っている」。 これが何を意味するかと言うと、あなたが何かしらの音を発した時点で「4分33秒」を元曲とした「音MAD」が成立するのである。
「音」が存在すればこの世の全ては音MADとして定義することが出来る。 そのようなことを言われてしまえば古今東西あらゆる箇所に音MADが存在してしまうではないか。
だがしかし待って欲しい。 真空状態では音は発生しない。宇宙空間では音MADは存在しない!?
ご心配なく。第一線で活躍する音MAD学者が宇宙空間上でも音は存在することを発見済みだ。 https://web.archive.org/web/20180420133703/https://globe.asahi.com/feature/100719/03_1.html
音さえ存在すれば音MADは存在する。 宇宙空間でも音は存在する。
すなわち、宇宙は音MADであり、音MADは宇宙なのだ。
――1951年、ジョン・ケージは「無音」を聞くためにハーバード大の無響室を訪れた。
無音を体験しようとしたものの、実際には「高い音」と「低い音」を耳にしたという。前者は神経系統の音、後者は血液の流れる音である。
この経験から彼は「4分33秒」を作ることとなったのだが、関連して彼が語ったとされる一節を借用・一部改変して本論の幕を引きたいと思う。
「私が死ぬまで音があるだろう。それらの音は私の死後も続くだろう。
だから音MADの将来を恐れる必要はない。」
@bobine_ks @Ckirored @R_M___